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タイ料理とベトナム料理 タイ料理は世界各地でファンを持っている。 日本でもエスニック料理の人気の最右翼にあるのがタイ料理ではないか。辛甘酸の微妙なバランスの上にたつトムヤムクンはその代表だ。筆者はアジア経済危機をはさんで二年間、タイの政府で働いていた。まわりに日本料理屋もほとんどなかったので、もっぱら昼食は近くの屋台に毛が生えたようなところで食べていた。二年間タイ料理を食べて、タイ料理を人に勧めるのに躊躇しないものだが、ここに来て強力なライバルが出現しているというのが私の考えだ。それはベトナム料理である。 ベトナム料理は野菜をふんだんに使ったヘルシーなものが多い。野菜などをライスペーパーで包む生春巻きが代表だ。ベトナム料理がタイ料理のライバルになるという論の根拠は以下のようなものだ。 第一に、ベトナム料理はタイ料理ほど味が強烈ではない。タイ料理も辛いものばかりではないが一般的にベトナム料理のほうがマイルドである。第二に、ベトナム料理は、世界のどこに行っても現地の材料を使う対応力が高い。 第三は、料理そのものではない。世界各地にいるベトナム人（そのうち多くが難民だった）の存在だ。タイはベトナムほど過酷な近代史を経ていないので海外にいるタイ人はそれほど多くない。海外在住のベトナム人はその地でベトナム料理を広める役割をしている。 私の考えが当たっているかどうか分からない。でも、あるものが受け入れられるかどうかはそのものが良いかどうかだけでは決まらない、と私は思っている。 |
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